少しでも高級感を出そうと、安物のカニを入れているチャーハンに出くわすことがある。カニチャーハンではなく、普通のチャーハンなのに、何故かカニが入っている。そのたびに、心のなかで叫んでしまう。
「お前は高級感を出そうとしなくていいんだよ!」と。
所詮安物なのに、高級感を出そうとして、安いカニを使う。安いカニは臭みが強く、魚介が苦手な私は食べられない。私に言わせれば、方向を間違えた努力なのだ。卵とネギだけだっていいのに、きっとそれを貧相だと感じてケチをつける人がいるから、安物でもカニを加えておこう、ということなのだろうか。
安物には安物の良さがある。そのなかで良さを最大限活かすようにすればよい。それは卵とネギだけの質素なチャーハンにすることであり、決して、チャーハンにカニを入れることではない。
……と、中華料理店で独り文句を言いながら、まずいカニを水で押し流すランチタイムであった。