もの知らず日記

積み重なる駄文、天にブーメラン

空想

赤ちゃん新聞

赤ちゃん新聞投書欄 「近頃の乳児はいつまで経ってもママにアーンしてもらっているという。我々の若い時分は3ヶ月でスプーン、6か月で箸の使い方をマスターしたものだ(男性・2歳)」 老人が若い時分の体験を虚飾し若者を見下すのはよくあることなので、…

つい

「~国政府としましては…(略)…事情を鑑みまして、12月31日をもちまして、2018年を終了させていただくことに致しました」 「横暴だー」 「国民をなんだと思ってるんだー」

ステーキ

都会人を気取って、新宿の中央公園あたりをぼけーっと歩いていたら、タッタッタッターと群衆の足音が聞こえて、なんだろうと顔を上げたその口にステーキを押し込まれるイメージです。そこでわたしは自分が田舎者であったのだと思い出すイメージです。まだ行…

時間が無い

時間が無い ゲームをする時間が無い 本を読む時間が無い 買い物に行く時間が無い 眠る時間が無い 家に帰る時間が無い 年賀状を書く時間が無い 雪かきをする時間が無い お昼を食べる時間が無い コーヒーを入れる時間が無い カップ麺をつくる時間が無い ダイエ…

歯医者へ行くために

そもそも社会人になろうという意志が無かった。ならばなぜ社会人になったのかと考えると、歯医者で仕事の話題がでたときに困るからというのが第一の理由だったと思う。歯医者で「学生です」と名乗って以来「学校はお忙しいですか」「どんなお勉強をしてるん…

「店主のお詫び」

誠に勝手ながら、アフリカの恵まれない子供たちのためにみなさまから頂きました募金154万8843円は、店主の「森のくまちゃん」CD制作に全額使わせて頂きました。ご了承ください。

貧乏人

500円あれば心が踊りだし、1000円あれば胸に火が宿る。5000円あれば無敵になって、10000円あればどんなことでも出来る。……ような気がしてくる。わたしはそんな貧乏人。

番人

わたしがなぜ外へ出ないのかって?虫がこわいからだよ。――彼は死ぬまで自室を出なかったという。

冷たい風

どうしてだろう窓を開けっ放しにしていると冷たい風が入り込んでくるんだこの寒さが過ぎますようにとぼくは願い続ける一人トイレで 願い続ける

とって

家族には「とって」と言えば済む友人なら「ちょっとしょうゆとって」と言えば済むあの人には「上半身を右に65度転回し、4本の柱に支えられた茶色い台の上にある白い円盤形の陶器の右隣にある黒色の液体が入ったガラス製の容器を把持し、そこから上半身を戻し…

さ入れ言葉

「では、読ませて頂きます」「おい、その日本語は違うんじゃないか」「読まさせて頂きます」「そうじゃない」「読まささささささささささささせて頂きます」

答弁

日本語を世界共通語にするための第一段階としましてですね、海外の方々のほうから日本語は分かりにくいというご意見も頂いておりまして、文法上の問題もあるわけでございますが、まずは、第一段階としてですね、協議会の方でも討議を重ねまして、すべての漢…

ひとりぼっち

真っ白いけむりを吐きながら みんなが「寒い」と言っている みんなが寒そうにしているから ぼくも寒いふりをして みんなと寒さを分かち合うんだ

謙遜

「ああ、どうも。愚妻がいつもお世話に……」「愚かとはどういうことよっ!」「愚息がいつもお世話に……」「パパ、僕は愚かじゃないよ!」「世界一の美女をご紹介します、妻です」「(あなた、わたしもう75よ……)」

奥義伝授

ある武術道場で、今まさに奥義の伝授が行なわれていた。「師匠、いかがでしょうか」「よろしい。では、これは何の構えだと思いますか?」「はい師匠、水をのむ鶴の構え……でしょうか」師匠は首を振り、真顔で言った。「”立ち小便”をする犬ですよ」

マーフィーの一日

「電車に乗ったら、俺の立ってる前の席だけ空かないんだ」「そんな日もあるわよ」「しかもレジに並んだら、俺の列だけ急に遅くなりやがって」「そんな日もあるわよ」「おまけに帰ってきたら、見たい番組が特番で潰されてるじゃないか」「そんな日もあるわよ…

ミルクティー

カフェでロイヤルミルクティーを頼んだところ、かなり薄いほとんど牛乳のようなものが出てきた。 理性的な自分が言った。 「作り直してもらおうよ、これは失敗したやつだよ」 紳士的な自分がつぶやいた。 「牛乳で薄まったロイヤルミルクティーも美味しいよ…

忙しい人

「あー忙しい忙しい!」「あの」「あー忙しい忙しい!」「ちょっと」「あー忙しい忙しい!」「コンセント抜けてます」「いま忙しいの!」

ある中年

舞い踊る肢体 「おんな」というものが 目の前に突如現れる海だうろたえた男は叫んだ 「まじめに脱げ!」

迷子のお呼び出し

このデパートの迷子案内には、 行く当てのなくなった「謙虚さ」と「優しさ」が、 毎日たくさんやってきます。 ――――お客様のお呼び出しを致します。 擦居根蔵(ずるい こんぞう)さま。 寂しがり屋の、擦居根蔵さま。 「ぴょんぴょんぱ~く」にて、怒り狂って…

役所レストラン「旧態依然」

<店員> 注文申請書をご提出ください <客> あの、これってセットできますか? <店員> 個別の事例についてはお答えしかねます。すべてを把握しているわけではございませんので <客> 確認してみてくださいよ <店員> 今後しっかりと調査をしてご報告さ…

焼肉消防車

解説 焼肉屋で火がつけられると、それを消して回ることで、火災の危険を未然に防ぐ。 食べようとするとたちまち火が消されてしまうので、誰も焼肉を食べることが出来ない。 メモ 焼肉屋でよく「では、火をつけますね」と言うけど、指示するものを変えたらこ…

床屋難民

しまった、と思った。 帰るときに寄っていればよかった。あの床屋は8時までやっているなんて、思わなければよかった。 履歴書に筆記用具。スーツにはアイロンをかけたし、訪問先への行き方もシミュレートしてある。役員の名前まで調べ尽くしたのに、伸びすぎ…

パン工場

じゃあ、次は君だ。 ちゃんと勉強して、いい大学に入って、いい会社に入って、いいパンになるんだぞ。 ………… うん、ややパンだ。その調子。 ………… いいぞ、ほぼパン! もうすこしだ! ………… よし、パンになった! さっきの不良品は、粉砕してパン粉にでもしとく…

休日倍増計画

「国民の祝日」の翌日は、「国民の祝日の祝日」とし、休日とする。「国民の祝日」または「国民の祝日の祝日」が休日に当たるときは、その日後においてその日に最も近い「国民の祝日」または「国民の祝日の祝日」でない日を休日とする。みどりの日(五月四日…

わたしのハムスター

うちのハムスター、とーっても可愛いんですよ。わたしがケージに手をさし入れると、わーって走ってきて、手のひらにちょこんって座るの。もう、あんまりかわいいものだから、生きたまま化石にしちゃおうかと思ってるの。

将来の夢

――みんな~! 将来の夢は、なにかなあ~?「サッカー選手!」「パティシエになってケーキ屋さん開くの!」「IT企業で働きたい!」「お医者さんなって病気のひとを助けたい!」「モデルになりた~い!」「化石」

自尊心の高い男

彼の仕事は、一日に一度くる新聞の勧誘を断ることだ。ただ、南から吹き込む風が彼の仕事の邪魔をする。ときおり我に返って、彼は怒鳴り散らす。「俺は仕事をしているんだ!」

ごきげんばあさん

ゆずってもらってだまってすわってでんしゃはことことおくちはちゅばちゅば小さな入れ歯が 涼しげに鳴った「あたしのほうが年上だからねえ」

美の間欠

鶏鳴が暁を告げると、965階の一室へと入り込む――類いまれな美貌を持つ男はベッドを振り返る。「疲れただろう、コーヒーでも入れるよ」類いまれな美貌を持つ女は言う。「ええ」幸せに満たされた男は、コーヒーを入れ始めた。彼女のために、たっぷりと愛を込め…