もの知らず日記

積み重なる駄文、天にブーメラン

「100語でわかるガストロノミ」

01/01 : アラン・ボウエー、ローラン・プランティエ「100語でわかるガストロノミ」

 人は、毎日食べなければならない。そして、料理をすることは、その食べる時間を素朴な幸せの瞬間にすることである。私は、料理を熱烈に愛する。食材を吟味し、調理し、決して、仰々しくならず、的確で気取りのない方法で素材の持ち味を引き出すことがたまらなく好きである。(中略)シェフの気難しさや創造性を超えて、料理にかける情熱が、絶えることなく受け継がれ、手を加えられ、崇高なものにされたと解釈している。料理とは、実に人間的で、本質的で自然なものである (p. 166)
◆フランス料理界の重鎮100人がそれぞれ料理にまつわる言葉をテーマにして書いたエッセイ集です。シェフたちが一つの本を作り上げるというコンセプトに惹かれ、読んでみました。かれらが料理に挑む心意気や食材に払う敬意、かれらの料理にまつわる思い出の数々をとおして、シェフという人たちが少しだけ身近になったように思えます。かれらの幼少期のお話がまた魅力的で、幼少期にきのこと接して育ったとか、ロースト肉のソースをつまみ食いする喜びとか、読んでいるだけで共感できる子ども心がそのまま描かれています。
◆それと関連して、すこしポエムみたいな項目があるのもよいですね(笑)。さらに、ちょっとしたレシピもあったりして、なかなか読みごたえのある本だと思います。フランス料理ということで、ふだんあまりなじみのない言葉(たとえばガルグイユとか、知りませんでした)もテーマに挙げられていますが、どんなものか想像するのも楽しいものです。
◆ちなみに、ガストロノミとはもともと「胃の作法」の意、食事に関する美意識のようなものを幅広くさす言葉のようです。