もの知らず日記

積み重なる駄文、天にブーメラン

ドラマ感想:最高の教師 1年後、私は生徒に■された

 気がついたら年が明けていた……。ようやく「最高の教師」を7話から一気に最終話まで見れた。9月放送で今さらかよ、と自分にツッコミを入れつつ。

 いや~面白かった。私は音楽でもアニメでも、なんでも面白い面白いと言って鑑賞するバカなのだけど、ドラマや映画はあまり見ない(例外は「相棒」シリーズなどごくわずかだ)。時間は有限で、さまざまなメディアから選択せざるを得ないなかで、一時間じっくり向き合うメディアというのは、結構ハードルが高くなってしまっている。

 そんな私が本作を見たのも Hulu に上がっていて何となく見始めただけなのだけど、考察要素ありでメッセージ性もあり、私の好きな雰囲気があった。キャストも芦田愛菜さんがすっかり成長されていてまさに光陰矢の如し、また主演の松岡茉優さんが美しすぎて二度驚いた。そして主人公の夫、九条蓮(松下洸平)が素晴らしすぎた。あたしゃ男だが惚れたよ(しかし、彼女の最後の日だと言うのに、その覚悟を聞いて彼女を止めずに自分が絶対に助けるのだという方向に考えをシフトできるのは、聖人すぎやしないかい?)。

 話が先走ったが、総じて感想を言うと「変化がすさまじい」と言うことに尽きる。とくに一話の絶望感を味わうと、最終話近くで加害者の生徒たちが嗚咽交じりに謝罪するのを見て、「人間そんなに変わるものか」と思ってしまう私は、人間の良心に対して悲観的すぎるのかもしれない。青少年は大人よりも可塑性があるとは思うけれど、それでも、である。というか、私自身が「変われていない」側なだけか。

 最終話で印象に残ったのは、星崎が転落したところを先生(九条里奈)が繋ぎとめる場面。星崎が「色がついてるわ、みんなに…………変わったね」というところのカットがなんという爽やかさ。あの笑顔をどう解釈するだろう、変わりゆく世界の観察者で居られて幸せだった(と同時に、自分がいかに変わりようがないかを痛感した)、この瞬間以上の幸せは無い、もう死んでもいい、と思ったんじゃないか、というのが悲観的な私の見解。

 あと、ちょいちょい印象的なセリフが出てくる。

悲しいことは、いつも青空の下で起きてしまうものだな、と

 とか。

 物語全体を通して、迷いやすい時代だからこそ立ち止まること(憶測で断定しない)や、声を上げる強さを持つこと、自分への言い訳を重ねないこと、などが繰り返し現れていたと思う。これは書籍でも最近再び注目を集めた「君たちはどう生きるか」や、最近読んだ「「集団の思い込み」を打ち砕く技術」を思い出す。ちょうど時勢を捉えたメッセージのような気がする。

 とにかく面白かった。タイムリープと「■された」ことの関係は最後まで分からなかったけれど、まあ些末なことか。やっぱりドラマも面白いな、と思わせてくれるものがあった。