もの知らず日記

積み重なる駄文、天にブーメラン

「言わなければ分からない」

 「言わなければ分からない」と言う人がいた。よくよく考えると意外なほどに、言うことを怠ってしまうことが多い。他人に自分を投影して、自分と同じことを考えているだろうとたかをくくってしまう。だからこそ言葉を選び、語り合う必要がある。

 その点で、今日は失敗した。駅を降りたとき、わたしは目の前にあった出口から出ようとした。だが連れ添っていた相手は、別の出口から出ようとした。なぜなら、その出口のほうが目的地に近かったからだ。

 どちらも自分の考えを相手に伝えなかったので、齟齬が生じた。わたしはこう考えていた。「最寄りの出口のある車両位置に乗らなかったのだから、直近の出口から出ればよい」。だから、目の前の出口を無視してわざわざ同じフロアを移動して別の出口まで歩くのは面倒に思えた。多少の遠回りにはなるかもしれないが、まずは外に出たかったのだ。相手からすれば逆だっただろう。

 これからどうするか、それを電車のなかで話していればなんともない話だったのだ。先のことばかり話して目先のことを忘れていた、そんなちっぽけなミスとして記録する。

 これは関係のない話だが、「言わなければ分からない」からと言って、自分の好き放題に言う人も居る。「この尊いかけがえのない俺の感情を理解しろお前の感情は知らん」と言わんばかりだ。どうも自分に対する自信喪失と自信過剰がない交ぜになった人がいると感じる。これについてはまた記録することにする。