もの知らず日記

積み重なる駄文、天にブーメラン

炊飯器を買わなかった

 炊飯器を見ようと思って久しぶりに家電量販店に行ったのだけど、まあ露骨だった。美味しく炊けるとかお手入れが楽だと言って、値段の高いハイエンドモデルばかりを勧めてくる。どれも5万円以上の製品だったので「予算は2,3万円です」と言ったら明らかにがっかりしていた。言葉はそうではなかったけれど、高額商品であれば値引きも考える、高額商品であれば案内が出来る、というような、的外れのプッシュに苦笑いした。

 私が求めていたのは、そこそこに美味しく炊けて、そこそこにお安い炊飯器だ。最高の炊飯器ではない。だから私のような安客にはさっさと適当な商品をおすすめして、あとはゆっくり見ていってね、ぐらいの対応で良かったと思うのだけど、なぜか高額の最新商品ばかりを勧めてくる。本音を言えば、話を聞けないなら話しかけられても困る、というところだ。ノルマがあるのだとしたら、さもありなん、と言いたくなる売り込み方だった。

 いくら商品に対する知識があっても、自分の売りたいものだけを売ろうとしてくる人にはうんざりしてしまう。販売員は、買いたいものを売ってくれる人であるべきだ。唯一の例外は、客が「買いたい」と思っている物以上に満足のゆくものを提示出来る場合だ。いきなり売りたいものを売りつけようと言っても、買う側も人間だから自分の考えがあるし、そうはいかない。

 買う側と売る側で駆け引きが出来ることこそが、店頭販売の強みだ。そうでなければ、ネットで買った方が安いし配送してもらえて楽、ということも多い。だからこそ販売員はスペシャリストになるか、さもなくば廃れてゆくのかな、と、ぼんやり考えていた。