もの知らず日記

積み重なる駄文、天にブーメラン

散歩という変な趣味について

 散歩というのも、変な趣味だと思う。一日中ただ歩くだけ。距離にして10Kmから20Kmくらいは毎回歩いている。例えばある一日。

  • 朝起きて、ベランダに出たら、青空と暖かい風が気持ちよかった
  • こんなにいい天気だったら、善福寺公園の池に行ったらいいだろうなあ、と思う
  • 地下鉄路線図の端っこの地下鉄成増駅から歩こうと決める(約10Km)
  • メシは現地調達(コンビニは不可)
  • 善福寺公園に着いたら、もっと行ける気がしてきたので、新宿に行くことにした(10Km以上)
  • 着いたら夕方になったので、電車に乗って帰宅
  • その夜よく眠れる

f:id:dolce_sfogato:20210222232344p:plain

ある一日

 という具合だ。自宅から出発することもあるが、基本的にはその日の気分で出発地と目的地を決めて、なんとなく歩いて、なんとなく帰ってくる。ただ出発地や目的地はどこでもいいというわけではなくて、なんとなく「今日はこの場所ならよさそうだな」という気分がある。それも実際の経験などに基づくものではなくて、その場所の風景を自分勝手に想像しているのだ。行ったことがない場所でも、そこにいる自分を想像するのだ。

 こういうわけだから、自分の想像と違う散歩になることもある。つまり「ここなら今日は気持ちいい風が吹いているだろうなー」と思っても、実際行ってみたらはめちゃくちゃ寒くて鼻水を垂らしながら帰ってきた、ということも珍しくない。

 その予測不可能なところも、散歩の楽しみのひとつだ。目的地などあってないようなもので、ただ歩くこと自体が目的なのだ。場所にこだわりはない。しかしある。まったく変な趣味なのである。

 この散歩は、まず恐ろしいほど暇でないと成り立たない。体力がないと成り立たない。これといった充足感もない。ただ一つ楽しいのは、普段電車で何気なく通り過ぎる街と街が「道」というもので繋がっているという、ごく当たり前の事実を実感することだ。知っていることを、実際に感じる。このときの感動は、やはり歩いた人でないと分からないだろう……と、20.5Kmの散歩が無意味ではなかったと信じたい私は書かざるを得ない。

 ――蛇足だが、実際のルートは画像のルートよりも細道を歩いたりしている。近隣の方ならご承知だろうが、これといって変わり映えのしない街並みであると言わざるを得ない。そして土地勘のある人ならば、このルートを歩く私がいかに暇人かが分かるだろう。ほとんどは住宅街、新宿付近は低層から超高層のビルだらけである。それでも、ただ歩いているうちに荻窪付近には暗渠を埋め立てた緑道があったり、おしゃれなカフェがあったりして面白いものだ。通りすぎながら料理教室がやっているのをちらっと見て、「ああ、こんな場所でも人が生活しているのだなあ」と思ったりするのも楽しい。そして地図上にある「吉祥天」は、私が行こうと決めていた、それなりに有名な饅頭屋である。実はこの散歩には、(主目的ではないが)目的があったのである。