もの知らず日記

積み重なる駄文、天にブーメラン

PDFを印刷しているときに思ったこと

 PDFを印刷しているときほど「自分は古臭い人間である」と思わせられる瞬間はない。データなのだから携帯性という点で圧倒的に優れた電子媒体(最近のKindleは文字中心のものなら数千冊分を携帯できると聞く……)で見ればよいのだが、目がしょぼしょぼで読めないのだ。――わたしの祖母は緑内障や古傷によって目が見えにくいので、よく「目がガチャガチャ!」というのだけど、そのたびにわたしは「わたしもたいがいガチャガチャだよ!」と言い返している――目が痛くなってくる。チカチカして見えにくくなってくる。閃輝暗点(せんきあんてん)といって、わたしの場合はたいてい閃輝暗点のあとはつらい偏頭痛がやってくる。

 そんなこんなで1年くらい電子媒体・紙媒体との付き合い方に悩んでいて、結局紙媒体重視にしたほうがいいやと思った。それからはせっせとプリンターに向かってはガーガー印刷するというのを繰り返している。

 街を歩けば、さまざまな人が電子媒体を利用しているのを見かける。歩きながらノートパソコンをいじっている人がいたり、歩きながらタブレットで中学生向けの教材を作っている人までいたりするのだから驚くほかない。自分もそのようなかたちで情報に接する暮らし方が出来るのだろうか……と想像してみることもなくはないのだが、そのたびに目をしばたたかせる自分の姿しか思い浮かばず、そんな想像ははかなく消えてゆくのだった。

 以前に、わたしより少し若い人が「目が痛いし、偏頭痛がするようになった」と話してくれたのを聞いて、そのつらさを知っているだけに心配してしまうのだが、その裏で不謹慎ながらも少し安堵する。わたしだけではなくて、誰でもなるものなのだと。わたしの場合解決策は単純だった。見づらいと思う場所では電子媒体(パソコン、スマホなど)を使用しないこと。連続作業の時間を減らししっかり休息をとること(例えばさんざんパソコンをやって休憩中にスマホ……というのでは意味がない)。

 パソコンなどのVDT(Visual Display Terminals)から生じるVDT症候群の問題はずいぶん前から言われている話らしく、昭和59年2月には、厚生省が「VDT作業における労働衛生管理のあり方」を公表している。おそらくVDT作業によって心身に負担を感じている人は、いまや数からいっても度合いから言っても当時よりもはるかに深刻になっているであろう……って、そんな知ったかぶった話を書きたいんじゃなかった。

 わたしが言いたいのは、時代についていこうとして積極的に電子媒体を利用してゆこうと思っていたのだけど、やっぱりわたしはダメで紙媒体に戻りました……アナログ放送を再開しました(してません)……ということである。もちろんガイドラインや辞書、地図のようなものについてまで「紙媒体最高!」というわけはないけれど、やはり文字を読むのなら紙がいい、という結論に至った。

 それでもやっぱり、PDFを印刷している瞬間、本をスキャナーにかけてコピーしている瞬間、この呆然と立ち尽くしているあいだに、「あぁ、わたしは時代遅れなんだろうなぁ」と思うのだ。