もの知らず日記

積み重なる駄文、天にブーメラン

F. Liszt. - Capriccio alla turca sur des motifs de Beethoven, S.388

 リストの「ベートーヴェンの『アテネの廃墟』のモチーフによるトルコ風カプリッチョ (S. 388)」を打ち込みました。ベートーヴェンの「トルコ行進曲」のメロディが、リストの手によって大胆にアレンジされています。中間部は『アテネの廃墟』第3曲の回教僧の合唱 「神は衣の袖に月を抱いて」とのこと。以下、例によって感想文的メモ(=解説なんて立派なものではないという意味)と拙作を載せておきます。

 リストは「アテネの廃墟」に関連する作品にたびたび手を加えています。Wikipediaから年代順に列挙すると以下の通り。

  • 1837. Fantasie über Motiven aus Beethovens Ruinen von Athen. S. 388b. (pf.) → 第6曲「行進曲と合唱」がベース。S. 122i. の元
  • c1837. Fantasie über Motiven aus Beethovens Ruinen von Athen. S. 122i. (pf. orch.) → S. 388b. のピアノ・管弦楽編(第1バージョン)
  • 1846. Capriccio alla turca sur des motifs de Beethoven. S. 388. (pf.) → 第4曲「トルコ行進曲」、第3曲「回教僧の合唱」がベース
  • 1846. Marche turque des Ruines d'Athènes. S. 388a. (pf.) → S. 388. から「トルコ風」部分を抜粋
  • 1848–52. Fantasie über Motiven aus Beethovens Ruinen von Athen. S. 122ii (*S. 122). (pf. orch.) → 第6曲「行進曲と合唱」、第3曲「回教僧の合唱」、第4曲「トルコ行進曲」がベース。ピアノ・管弦楽編(第2バージョン)
  • c1852. Fantasie über Motiven aus Beethovens Ruinen von Athen. S. 389. (pf.) → S. 122ii. のピアノ編
  • 1855. Fantasie über Motiven aus Beethovens Ruinen von Athen. S. 122iii. (pf. orch.) → ピアノ・管弦楽編(第3バージョン)
  • 1856–57. Fantasie über Motiven aus Beethovens Ruinen von Athen. S. 649. (2 pf.) → S. 122ii. の2台ピアノ編

 ちょっと詳しいことは調べる元気がありませんが、たびたび「幻想曲」に手を加えています。これら「幻想曲」のなかでただ一つ「奇想曲」となっているのが S. 388. なんですね(もう一つ「行進曲 (S. 388a)」はその抜粋)。第6曲だけを用いたS. 122i. から、第3曲・第4曲を用いた本作。これらを合わせて S. 122ii. に結実する、ということでしょうか。このS122ii (S. 122)はこの S. 388. のピアニスティックな部分に管弦楽が加わってめちゃくちゃ格好いいんですが、取り上げてくれる演奏者はそうそう現れないでしょう……。

 

 S. 388. 自体の話をしていませんでした。冒頭は有名な「トルコ行進曲」のメロディで、繰り返されるたびにリストらしい超絶技巧で彩られてゆきます。あたかも3本の手があるような。そして10度が平気で出てくる。おそらくリスト本人はバラさず「一つかみ」だったでしょうね(憶測)。

 中間部は第3曲、回教僧の合唱 「神は衣の袖に月を抱いて」。ここはAndante fantasticoとあるんですが、原曲に倣って”勝手に”爆速にしました。もしもリスティアンが聴いてくれたとしても、投石モノですね。しかも accel. で爆速がさらに速くなって収集が付かなくなってます。そして動画だと小さくて見づらいのですが、ossiaがまたとんでもない。打ち込みで取り入れたのはもちろんossiaです。

 ほか、いろいろ面白いところもあるのですが、お喋りすぎると墓穴を掘るのでこのあたりで。とりあえず、ノリノリになりながら楽しく作りました。

 


F. Liszt. - Capriccio alla turca sur des motifs de Beethoven, S.388