リストの「岸壁より海へ!(ドイツ戦勝行進曲)」を打ち込みました。いわゆるマイナー作品で、Youtubeにもほぼ動画無し(1件のみ:2019年2月時点)、全集にしか載っていないような作品なのですが、「この曲を少しでも広めたい!」と思って打ち込みました。勇壮で豪華なffの主部とかわいらしいdolceのトリオの対比の鮮やかなこと! 誰か、アンコールピースなどに弾いてほしい……。
個人的には、まず「Sehr belebt und feurig (Molto animato e con fuoco)」という標語が好きです。燃えるように! しかも出だしから右手にはアクセントがついている。これはもう、強打するしかない! 曲としては、同じフレーズの繰り返し、形式的な反復が多いのですが、不思議と飽きません。
(音の間違いなどお気づきになったら、教えて頂けると嬉しいです)
作品について
作曲は1853-56年(?)、1865年にシュレジンガー社から出版されています。IMSLPにある初版(シュレジンガー社)には時のプロイセン王ヴィルヘルムI世の名前が高々と掲げられています。表題のVom Fels zum Meer! は、ホーエンツォレルン家の家訓とのことで、やはりプロイセンを賞賛するものであることを示すものだと思います。
作曲の経緯は不明ですが、初版の表紙には"Arrangement für Piano zu zwel Handen vom Componisten"(作曲者による2手のためのアレンジメント(たぶん))とあるので、管弦楽版が先に存在したと、とりあえずは考えられそうです(しかしリストの作品番号で知られるラーベは、ピアノがオリジナルだと考えていたとか(?))。バージョンとしては、ピアノ2手のアレンジ(S. 229)、おそらくオリジナルであろう管弦楽版(S. 358)、ハンス・フォン・ビューローによる四手連弾のアレンジ、ヴィルヘルム・ヴィープレヒト(プロイセン軍楽隊長?)による軍楽隊のためのアレンジの存在(不詳)が分かっています。完全に憶測ですが、これだけバージョンがあるというのは、やはりそれなりに注目された、あるいは社会的な要請に基づいて作られた作品だったのではないでしょうか?
作曲された経緯やこのあたりのバージョンの関係についてはわたしの情報収集・処理能力では判然としないところが多いので、ご教示を乞いたい次第です*1。