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もの知らず日記

積み重なる駄文、天にブーメラン

好きなこと――人間観察

 もしも、目の前を並んで歩く二人が道を譲ってくれなかったら。ふつうなら「すみません」と言えば片付く話だけど、言い出せないこともある。あまりに楽しげに話していて、僕が割り込むのが申し訳ないような気がしてしまう。咳き込んで気がついてもらうという方法もあるけれど、それでは味がない。ここはちょっと試してみようと思い立ち、5歩ぐらい後ろをごくふつうに歩く。彼・彼女らがどれだけ周囲に気を配っているか、いつ気がついてくれるかを試してみるのだ。下手をするとずっと通れないわけだけど。

 もしも、取り分ける料理を競うように食べる人が居たら。ふつうなら自分も急いで自分の分を確保したくなるところだけど、あえて取らない。その人がどこまで取るかを楽しみに眺めるのだ。その人はすべてを完食するいさぎよい食いしん坊か、それとも残りわずかになってから周りに配慮して手をつけなくなる卑怯な食いしん坊かを見極めることができる。引き換えに自分はごちそうにあずかれないわけだけど。

 自分・自分たちの世界のなかで生きている人びとが、周囲の世界につながる瞬間というのは面白い。いわゆる公共心の高い人は、自宅以外の空間では周囲の世界に対して頻繁に気を配っている。反対に、自宅以外の空間でも自分の世界に閉じこもっている人もいる。良い悪いということではなく、生き方が違う。道ですれ違う一人一人には自分の世界とその周囲の世界のつながりがあって、そのつなぎ目を観察しているような気持ちになる。”みんなの”ごちそうを独り占めしてしまうのも人間だし、分け合おうとするのも人間だ。独り占めしておいて、残りわずかになってちょっと反省するのも人間だ。個人的な欲求や願望と社会のなかで折り合いをつける姿が、面白いなと思う。