(憲法9条改正談義)
とあるマンションの屋上視点から、ある一室にズームする。
わたしが部屋の扉を開けると、目の細い老人が居る。顔は( ◜◡‾ )という顔文字にそっくり。マンガのような描写で、手足は先細りながらも丸みを帯びているキャラクター。
彼の姿をみて、わたしは言う。
「入部が決まりそうな人が来ましたよ」
「それはよかったです」
「では、早速呼びますね」
そう言って部屋に招き入れたのは、老人と同年代の教育意識が高そうな女性。こちらもマンガ的。
と、老人は表情を一転させて叫んだ。
「このひとはダメですっ」
思わぬ一言に目が丸くなる。
「ほかのだれでもいいですが、このひとはダメですっ」
と言い出したかと思うと、老人と女性は掴み合いを始める。老人に殴りかかる女性の右手を彼の左手が受け止め、女性を殴ろうとする老人の右手を彼女の左手が受け止め、交差した状態のまま膠着状態に陥る。
「このひとは、憲法9条という美しい精神を、変えようとしているんです!」と老人が喝破すれば、
「改正は必要なんだよ!」と女性が切り返す。
ふたりのあいだに火花が散るなか、「これ、面白いな」と観察しているわたしがいた。