もの知らず日記

積み重なる駄文、天にブーメラン

「ダメ出しの力」

10/09 : 繁桝江里「ダメ出しの力」

 ダメ出しをする側もされる側も、できるだけネガティブな感情を排除したいものです。「ダメ出し」マイナス「ネガティブ感情」イコール「イイ効果」という式が成立することを目指してください。そのためには、とにかく時間を置くことが大切です (p. 211)
◆「ダメ出し」の力を、コミュニケーションというさらに広い射程のなかで見直し、それをうまく活用するためにはどうすればよいのかを考える糸口を与えてくれる、いわば”応用するための本”です。ダメ出しは悪いことなのでしょうか。そうではないとしたら、ダメ出しは相手にどのような影響を与えるのでしょうか。そして、どのようにダメ出しをすればよいのでしょうか。社会心理学など学術的な研究に基づく興味深い知見とともに、「ダメ出し」というコミュニケーションについて考えてゆくこの本には、ハウツー本とは明らかに違う面白さがあります。

定義:ニュートラルな「ダメ出し」

本書での「ダメ出し」の定義……相手に否定的な評価を返す(=悪いところを指摘する)こと。ネガティブ・フィードバック (p. 6)。反対に、良いところを指摘するのは「イイ出し」としている
→ この本書でいう「ダメ出し」は、「叱る」などとは違って、感情的ではないニュートラルな指摘というニュアンス

上司から部下に対する懲罰と報酬の関係 (p. 40)

即応的報酬(その場の状況に応じて褒めるなどの報酬) → よい影響
非即応的報酬(たとえば、仕事が良くても悪くても褒める) → 悪い影響(&よい影響弱)
即応的懲罰(その場の状況に応じてダメ出し) → よい影響・悪い影響
→非即応的報酬は、役割の不明確化や、仕事に対する満足度の低下などを招きうる。即応的懲罰は、個人レベルとして悪影響ではあるが、組織レベルとしてパフォーマンスを向上させる効果がみられる。非即応的懲罰は最悪。
◆ダメ出しの部下への影響は、部下の自由度や責任感で異なる。「自由度:高、責任:大」では、ダメ出しと成長感のあいだに関連がみられるが、「自由度:低、責任:大」の場合はみられない。「自由度:低、責任:小」のルーティン型ワークでは、さらにイイ出し(プラス評価)の効果もみられない。

適当メモ

◆失敗学習動機が弱い場合など、イイ出し(褒める、改善策の提示)によってかえってネガティブ感情を強めてしまうことがある(”余計なお世話だ!”という反発がありうる)
◆夫婦関係ではお互いにダメ出しをする・されると思っている。

→ この本の「ダメ出し」はモラルなどに対するニュートラルな指摘だからかもしれない。これが家事の分担や日常生活の話になったら、話は別かもしれない。

◆「自分はダメ出しをしない・相手もしないだろうという予想が正解」という組み合わせは、相手との関係で自分が成長できている(自己成長化関係にある)という評価が低い

◆夫婦間では「自分:相手は嫌な思いをしないだろう(予想)、相手:嫌な思いをする」という食い違いが比較的多いのに対し、よく話す人(他人)の場合は、「自分:相手は嫌な思いをしないだろう、相手:嫌な思いをしない」という正解が多い (p. 190, 図4-5)

→ 他人だと言いかたに配慮をするから?