もの知らず日記

積み重なる駄文、天にブーメラン

「脳内汚染からの脱出」「東京今昔旅の案内帖」

09/16 : 岡田尊司「脳内汚染からの脱出」

 依存症とは、それほど自分の力ではどうにもならないものなのである。せっぱ詰まった覚醒剤中毒患者が、自ら警察に駆け込むということも少なくない。自分を逮捕して貰うことでしか、自分を止められないと知っているからだ。依存症とは、それほど深いものである。ゲーム依存症も例外ではない。ただ、違いと言えば、薬物依存症が、一、二年もあれば、その人を精神病状態にまで蝕んでしまうのに対して、ゲーム依存症は、もっと長い年月をかけて、若者の人生を蝕むということである (p. 309)
◆ゲームに依存し続ける過程が脳を破壊する。それもじわじわと。小さな子どもたちはゲームをすることによって強力な快楽をむさぼる。しかしその裏では、社会性や共感性、集中力や意欲といったものに対する脳内汚染が少しずつ進んでいるのである。とりわけ暴力的なゲームは子どもたちをむしばみ、その人間性や考え方まで変えてしまう。ゲーム・ネット依存を警告し、そこから抜け出す道を提示している。

◆と書いたものの、当然、”誰もがゲームによって人生をボロボロにされる”というわけではないし、インターネットならばなおのことだと思う。その点でこの本は、「警告の本」として読むと面白い。とくに、幼少期の子どもへの影響は、そのあとの人生まで大きく左右してしまうのだと考えると恐ろしさを覚えずにはいられない。

09/16 : 井口悦男・生田誠「東京今昔旅の案内帖」

 明治期から昭和にかけての彩色絵葉書、写真、地図と、現在の同一視線を比べて東京観光名所の「今昔」をたどる一冊。シンボルツリー、路面電車、モダン建築、夜の銀座、劇場、花見、大学などなど、本書を片手にあなたの知らない東京を訪れてみませんか? (学研ビジュアル新書『東京今昔旅の案内帖』 | 学研出版サイトの紹介文より)

◆手抜きのコピペ

◆東京の今と昔を比べる本は多くあると思うけれども、この本が面白いのは、”ある場所”という点ではなくて、モノやコトをとおして線でたどってゆくという描き方にあると思う。点で注目すれば、とうぜん街並みは大きく変わっているのだけど、タワーのような建造物や、花見のような風物、帰宅ラッシュといった人びとの様子をみると、そこに不思議なつながりもみえて面白い。

◆周囲に比類する建物がなく、当時抜群の高さを誇った東京タワーのシルエットはまさにエッフェル塔のようで、何とも美しい(”けれど今は……”と思ってしまう)。海に面していた品川駅、日露戦争戦勝を記念して凱旋門や花電車(装飾した路面電車)が走っていたというのも面白い。