もの知らず日記

積み重なる駄文、天にブーメラン

メディアスクラム

 このブログは本質的には罵詈雑言ブログである。もともとは、夜10時ごろにバイクが爆音を鳴らしながら自宅の前を通り過ぎたりすると、「うるせーっ、バカバイク! 迷惑行為の道具にされて、あんたのバイクも泣いてるよ!!」などと書き込むつもりで作った。というわけで、その本質に立ち返って、今日も罵詈雑言を漏らそうと思うわけである。

 わたしは、被害者遺族の取材をするマスコミというものがあまり好きではない。実名報道は別の論点としてさておいても、「メディアスクラム(報道者による被害者遺族の取り囲み)」など、明らかに遺族の感情を傷つけ、あまつさえ生活に支障を及ぼすケースもあった*1

 そこで思ったのが、そうしたえげつないまでの取材力は、ぜひ悪事を働く人間に発揮してほしいということである。例えば、被害者遺族などに取材するよりも、駆け込み乗車をした人間を取り囲んで、「無事に乗車されましたが、今のお気持ちはいかがですか!?」とか、「今の駆け込み乗車で後続列車にも5分の遅延が発生しましたが、ご感想をひと言!」とか、「2分後に次の電車が来ますが、なぜ待てなかったのでしょうか!?」という感じで取材してほしい。電車と言えば痴漢も迷惑行為なので、疑わしい段階で取り囲んで頂いて、「さっきから女性のカバンに手を当てて、今度は腕ですか、昨日も同じことをされていましたよね?」とか、「素敵な腕時計ですね、やっぱり自分が格好いいと思っているから、女性に近づくんですか?(女性リポーターが怒りを込めて)」という感じで、心をえぐって行ってほしいと思ったりする次第である。

 なぜこんなことを書くかと言うと、一つには単なる安っぽい正義感、悪を懲らしめたいという憂さ晴らしの空想であるが、もう一つには、こうした迷惑行為こそまさに、それを働く人間の感情と思考を知りたいと思うからでもある。被害者遺族の怒りや悲しみは想像することが出来るが(ただし、分かるということではない)、犯罪になるかならないかの小さな悪事を働く人間の心の内を聞く機会というのはなかなかない。それは既存の社会にまったく適合しない人間とは違い、それなりに善良で、社会に適合し、しかし少しばかり卑怯で自分本位なだけの存在かもしれないのだ。

 こういう、なかなか常人には出来ないことを探求してくれるアウトロー的人間として見ると、ある種救世主のようにも見えてくるのだが、実際には、善人の遺族を取材し傷つけている人がほとんど、真摯に向き合い丹念に取材をしようという人はわずかである、というのが実際の現状なのだろう。

*1:日本新聞協会が2020年6月11日に発表した「メディアスクラム防止のための申し合わせ」でも、座間9人殺人事件などが例示されている。