もの知らず日記

積み重なる駄文、天にブーメラン

「知の広場」「かくれんぼ・毒の園」「15分あれば喫茶店に入りなさい。」

04/21 : アンニョリ「知の広場」

◆勉強をする人たちのお堅い場所だと思われがちな図書館。それをすべての人びとに開放し、居心地の良い場所にしようという著者の試み。図書館の文化的な価値を見つめ直し、図書館の未来を切り開くための具体的な設計をしっかり組み立ててゆく様子がとても面白い。(後日引用文を載せます)

04/28 : ソログープ「かくれんぼ・毒の園」 他五篇

 ワローヂャは勤勉な子で、噂では才能のある子だそうである。ところが、今日という今日は勉強をするのが彼には大儀なのである。どの学課にも手をつけず、何かしら不愉快なことを思いうかべた。その課目の教師や、教師が通りすがりに言いすてて、感じ易い少年の心の底に消しがたいものを置いていった乱暴な毒舌が、いまさらのように胸にうかぶのであった (本書より「光と影」, p. 63)。
◆ひたすら描かれる厭世と死の物語。純粋な子どもに厳しい仕打ちを加える大人、なんの変化もない平坦な生活や、半ば滑稽なかたちであっけなく死を遂げる俗物の存在は著者の厭世的な考えを物語っているかのようです。他方で、少女の純粋な死や、愛と死の重なりが美しく描き出される。なんとも不思議だなと感じた。

05/02 : 斎藤孝「15分あれば喫茶店に入りなさい。」

 喫茶店にわざわざ何百円ものお金を払うのは、コーヒーではなくて空間を買っているからです。「リラックスしていて、なおかつ生産的」な、その空間で、少しでも前進するための思考を巡らせるべきなのです(本書, p. 37)。
◆主婦に社会人、いろいろな人のための喫茶店有効活用術の本。日常にビジネス、会話に商談、一人での思考に仲間との議論、いろいろな人が集まるのが喫茶店。そこは独特の「ライブ感」のある半公共的な空間だ。著者によれば、こうした空間が創造的な思考にとても適しているという。たとえば、日ごろから自分がこなすべき課題を見つけておき、喫茶店で片づける。そんな著者の「喫茶店タクティクス」には1分1秒も無駄にしないという強い意志が感じられる。◆けれど、喫茶店などはあくまで「半公共的な空間」。道具を広げて勉強したりするのは半公共的空間の「自宅化」。この点についてもたびたび警告している点は見落とされるべきではない。