もの知らず日記

積み重なる駄文、天にブーメラン

紋切型辞典

 誰もが言うような言い回しをまとめると、とっても陳腐でおまぬけ。けれど、みんな言うんだから「けしからん本だ!」ということもできない。そんなところを楽しむ本かなと思います。以下、気になったところを記録しておきます。

  • アカデミー・フランセーズ [Academie francaise] 誹謗すべき。しかし、できるものならその一員になるよう努めるべし。
  • うさぎの白ワイン煮込み [gibelotte] つねに猫の肉で作られる。
  • 愚か者 [imbeciles] あなたと同じ考えを持たないひとのこと。
  • 女家庭教師 [institutrice] 常にきわめて醜い。
    みんな「不幸に見舞われた」良家の出身。
    みんな青い眼鏡をかけている。
    家庭では危険な存在。
    夫を堕落させる。
    →〔1847年にはパリの名門貴族プララン侯爵が子供たちの女家庭教師を愛人にし、邪魔になった妻を殺害するというスキャンダラスな事件が起こった〕
  • 学者 [savant] 学ばなくてもすべてを知っている。博識家。記憶力さえよければ学者になれる。からかうべし。
  • 学生 [etudiant] 学生はみんな赤いベレー帽をかぶり、乗馬ズボンをはき、通りでパイプをふかし、勉強はしない。
  • ガルド=コート [garde-cote] 女性の乳房について語るとき、この語をけっして複数形で使ってはならない。
    →不詳。
  • 義務 [devoirs] 他人はあなたに対して義務を負うが、あなたは他人に対して義務を負わない。
    ゴルディアスの結び目 [n"oe"ud gordien] 古代人のネクタイの結び方。
    →フリギアの王ゴルディアスが戦車の轅(ながえ)とくびきを結んだ結び目のこと。それを解く者はアジアの支配者になれるという神託が下されていたが、後にアレクサンダー大王が剣で一刀両断した。
  • コントラルト [contralto] なんだかわからない。
  • ジャルナック(の一撃)[Jarnac (coup de)]  彼の巧妙な一撃について語るときは憤慨すべし。正々堂々たる一撃だったのだから。
    →不意の一撃で相手を倒したジャルナック男爵(1509-72?)にちなむ。実際は堂々となされた決闘だった。
  • 羞恥心 [pudeur] 女性にとって最も美しい装飾品。
    →だとしたら、これがない女性はどうなるのか。
  • 乗馬 [equitation] 痩せるためにうってつけの訓練。例――「騎兵隊の兵士はみんな痩せている」
    太るためにうってつけの訓練。例――「騎兵隊の将校はみんな腹が出ている」
    「あの男はケンタウロスのように乗馬がうまい」
  • スキュデリー [Scudery] 読むまでもなく嘲笑すべき昔の作家。
    男なのか女なのかもよく分からずに、嘲笑すべきである。
    →マドレーヌ・ド・スキュデリー (1607-1701)
  • 富 [richesse] その威力はすごい。あらゆるものの代わりをする。信用の代わりさえも。
  • 肉屋 [boucher] 革命時には恐ろしい人間になる。
    みんな太っている。
    みんな乱暴者で、通りで子供を押し潰したりする。
  • 葉巻 [cigare] 専売公社の葉巻は常に「ひどい悪臭を放つ」。密輸品の葉巻だけがうまい。

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