「まあ、鳥さんがこんなに近くに来るのねえ!」
と、大声をあげながらヒヨドリにずかずか近づいて行ったおばさんたち。さようなら、私と遊んでくれたヒヨドリさん……。
と、私の言いたいことはこれに尽きる。私はこういう心の愚鈍さを嫌だなと感じる。心に視力というものがあるのなら、彼女たちは盲目に等しい。美しいからとほとんど無意識に手を伸ばす、その動きはまるで赤ん坊と同じではないか。そして自分が美しいと思ったその瞬間を、自分の手で握り潰す。
私はそういう人の精神性に嫌悪を抱くし、隠さない。そしてそれだけの厳しい眼を自分に向けて戒めているつもりだ。そもそも、あちらも私みたいなのは願い下げだろうが……。
おしゃれぶってケーキを食べても、ナイフの美しさなんて目もくれずに、刃元までベタベタに汚して食らい尽くす野蛮さ。それでいて自分は美しい、優しい、善良な人間であると思い込んでいる傲慢さ。ならば、こんなことを考える私は善良か? 結局はどんぐりの背比べか、同じ穴の狢か、目くそ鼻くそというものだろう。
いやいや、素晴らしく生きる人たちを見よう。さもなければ、花のように超然と咲くのが、美しいと思う。私は私の美しさを目指して、咲くだけのことである。