もの知らず日記

積み重なる駄文、天にブーメラン

ツイッターを見て

 ツイッターでクリエイターのトラブルを見かけた。それは「無償で仕事をしろ」という類いの非常識な依頼で、残念ながらツイッターではどこかで毎日のように起きている話である。近年カスタマーハラスメントだとかクレーマーという言葉をよく聞くようになったが、彼らはカスタマー(顧客)ですらなく、またそれは不当な脅迫行為であるから、正確にはクレーム(苦情、改善要求)でもない。

 とはいえそれをあえてここで糾弾するつもりもないのだが、わざわざこの話を取り上げたのは、この一つの事件を見て、私は私自身の恥ずかしい記憶を思い出したからである。

 それは小学5年生のときだった。あるフラッシュゲームに没頭していた私は、その作者に「続編を作ってください!」というようなメールをした。それに対して作者のかたは予算を尋ねてきた。その返信に喜んだ私は、何も考えずに「1000円ぐらいで云々」と、当時にしては精一杯の丁寧さを込めてメールを送ったのである。

 「こうしたゲームの制作を依頼するならば、最低でも10万円はする」と返信を頂いて、当時の私は驚いて学習机のイスから転げ落ちるほどショックを受けた。1000円やそこらだと思っていた私に突き付けられた10万円という見積もりは、社会を知らなかった子どもの私を完膚なきまでに打ちのめした。そして、もう二度とこんなメールはしないと、心に決めたのだった。

 この思い出は今でも思い出すだけで恥ずかしいのだが、冒頭に述べたクレーマー(?)の、あの、あまりにも稚拙な思考、態度、傲慢さ、独善的な態度に、私はほんの少しだけ、あの頃の私の姿を思い出すのである。

 もっとも、それが若さゆえの愚かさによるものだったとしても、その行為は「若さ」で許される一線を越えてしまっている。まして大の大人であるならば、なおのこと過ちを改めることも無く、誤ったままの人生を、自分では正しいと思いながら生きてゆくのだろうから、それはなんとも救いのないことである。

 とにかく、顔の見えない世界ではなんとも難しいことばかりであるなあ、と感じながら、若き日の自分の愚かさを恥入る今日この頃である。