もの知らず日記

積み重なる駄文、天にブーメラン

東京駅

 東京駅って何なのだろうか。池袋新宿渋谷品川上野といった大きな駅を降りても、「どこでご飯を食べたらいいのか……」と迷うことはないのだけど、東京駅だと毎回そうなる。いや、もちろん池袋だろうが新宿だろうが何を食べようかとは迷うのだけど、これらの場所では「どこで食べようか」とは迷わないのだ。適当にぶらついていれば見つかるし、それが楽しみでもある。

 例えば、新宿でパスタを食べたいと思ったとする。好きな店もあるが、適当にほっつき歩いていればパスタ屋の一軒や二軒は見つかる。渋谷でラーメンを食べようと思ったとする。これも適当に歩いていれば博多天神に行き当たるだろう(当たらないよ!)。

 けれど東京駅は違う。新宿池袋渋谷はいずれもダンジョンと呼ばれるほど迷いやすいと言われるが、地上に出て歩き回ると案外お店は見つけやすい(もちろん隠れ家的な店は別だ)。だが東京駅を訪れるたびに、私はいつも飲食店を見つけるのにとても苦労する。どんなお店があるか、いちいちビルに入らないと分からないし、おしゃれすぎて、行き場がない。だから私はなか卯とてんやに行ってばかりいる。あるいは竹橋に出て弁当を買う。古びた地下街でラーメンなんかを食う。

 東京駅以外の街は歩いていて楽しいが、東京駅近辺は歩く場所ではないなと感じる。もちろん駅から皇居、帝国劇場、日比谷公園といった目的地に向かって歩くのはよい。気持ちの良いプロムナードがある。だが、私にはやはり洗練されすぎていて落ち着かない。電線を地中に埋めるのは景観上素晴らしいことだが、それにしたって店まで地下に埋めるような――均質的なビルのなかにしまい込む――真似をしなくてもいいじゃないか。

 と言いつつも、さすがにてんやとなか卯以外にも行きたいと思った私は、やむなくスマホで店を調べてから行くことにした。そう、事前に調べて、目的地に向かうくらいでないといけない。これを書いていて、だから、私は東京駅が好きではないのだ、と気が付いた。

 東京駅についてはいろいろ思うところがあるけれど、天皇陛下御即位慶祝だと言って一日中電車で移動してはしゃいでいたせいで眠すぎるので今日は寝る。