ラーメン屋でライスを口に押し込んだ私は、満腹のあまり吐きそうになりながら、昔のことを思い出していた。
食べ物を残すということが「悪」であると学んだのは、言うまでもなく学校の給食だった。そのくせ、給食はときとして子どもにトラウマを植え付けるのだ。
私にとっては、笹かまがそれだった。あの口に含み噛み締めた瞬間に広がった生臭さは忘れられない。小学三年生くらいだったと思うけれども、飲み込むこともできず、吐き出すこともできず、嘔吐しそうになった。
それでどうしたかといえば、給食が終わるまで口に含み続け、終わって片付けに入ってからトイレにかけこんで吐き出した。何十分も口に含み続けていた笹かまを吐き出した、あの後味も本当に吐き気がした。
で、ラーメン屋にいる私は、ライスを食べながら、電撃に打たれたようにそのときの感覚を思い出した。
もはや、あのこってりした横浜家系自体が私にはきついのだ。もう、無料だからとライスを頼むのはやめよう、と固く思った。