もの知らず日記

積み重なる駄文、天にブーメラン

『必笑小咄のテクニック』という本のこと

 ふと『必笑小咄のテクニック』という本のことを思い返していた。ジョークであれば笑いの源泉となるふざけた論理が、ひとたび現実に持ち込まれると人びとを欺く笑えないものとなる。著者の米原万里さんは、ジョークをあざやかに分析しながらも、社会に対する警鐘を忘れなかった。そうわたしは勝手に理解している。そしてそれは国内外の政治においてますます重みを増しているように、わたしには感じられる。

 例えば、面白おかしいウソニュースで知られる虚構新聞の内容について、たいていはバカにして笑うのだけど、心のどこかで「笑えない」と感じたりすることもある。オリンピックに際して猛暑を護摩で吹き飛ばそうというのには笑った。だけれど現実の世界で朝顔のフラワーレーンについてバカにする意見ばかりが目立って、その発想の意味を理解しようとしたり、批判にせよ費用に対する効果などから建設的に展開する意見がなかなか見られなかった。その雑多なノイズにもまた、笑えるようで笑えない、そんなジョーク化した世界の悲しさがあると感じている。

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