もの知らず日記

積み重なる駄文、天にブーメラン

たまごをめぐる対立

 愚痴です。

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 スーパーで、ある2種類のたまごに注目した。

  • 安売りのたまご、約200円(消費期限およそ1か月)
  • 250円のたまご20%引き、約200円(消費期限1週間)

 これがもめた。世のお母様がたはどちらを選ぶのであろうか。やはり1週間という消費期限を嫌うだろうか。それとも1週間で消費するとみてちょっとした贅沢気分をとるだろうか。たまごコーナーの前で2分くらいディベートが始まった。

 わたしは後者を選んだ。その主張はこうだ。本来250円のものが200円で買えるのはやはり魅力的だ。この卵はめったに安売りされていない。たしかに消費期限が一週間程度しかないから20%引きなのだが、我が家の消費ペースから言って消費するであろう。

 問題となるのは消費ペースであるはずだ。いままでの消費ペースからみて、1週間という期限でたまごを使い切るかどうか。ここを言い争いたかったのに、ごにょごにょ話をするものだから、これを理解してもらうまでにかなり時間がかかった。

 これは、互いに相手を説得する、いわばちょっとしたゲームだ。「どっちにする?」というありふれたシーンだ。もしゲームを降りて、ただただ嫌だと言うのなら、「嫌だ。こっちがいい」とひとこと言ってくれれば済む話だ。にもかかわらず、自分の意志や主張を示すわけでもなく、こちらの意見は否定する。

 なんだろう、たまにこういうときがあるのだ。「とくに理由はないが、こっちがいい」と言うのだ。それが重大な危険に対する直感のようなものであればよいのだけど、たまごひとつにそんな直感が働くものだろうか? むしろわたしには、「日常への信仰」のように思える。いつも買っている商品だから安心できるという、無条件の信頼。それが価格や品質を踏まえた合理的な判断であれば、より良い商品が現れたときにはそうしようという意識が働く。だが、選択してきたことそれ自体が価値を持ってしまっている。その無条件の信頼が、商品を選ぶ際の話し合いを難しくしている。

 このように書くと酷く偏屈な印象がするし事実我ながらそう思うのだけど、言いたいことは極めてシンプルなことだ。あくまでもそのものの価値を考え、メリットデメリットを比較して判断してほしいということだ。

 結局200円の安売りたまごを買った。正直ただの好奇心だけだったし、たしかに、期限を気にせずに居たいと思うのもよく分かるものだったからだ。その代わりに、250円20%引きの牛乳は押し通した。数日しか期限がないが、毎朝毎晩と牛乳を温めて飲んでいるし、絶対に消費すると言って譲らなかった。

 裏を返せば、これといった衝突というとこんなことくらい、たかがたまご、商品の選び方くらいだ。本当に不快であればとっくに各自で自分の分だけを買っているだろう。かなり平和なのだとは思う。