もの知らず日記

積み重なる駄文、天にブーメラン

看取りの場所

 ときどき、世の中の流れを知らなすぎると思って統計を見たりする。

 日本では、比較的多くの人が自宅での最期を希望するのだけど、実際には病院などの施設で亡くなることが多いという。自分の最期について、希望と実際が違ってしまう場合も少なくないと考えられる。このことは平成26年厚生労働白書などに書かれている。

 いまはどこで最期を迎えることが多いのか、と思って、平成29年度の人口動態統計を見てみた。もの知らずクオリティのパワポで恐縮だけどグラフにした。

看取りの場所(百分率)

 かつては自宅死(薄緑)が圧倒的に多かったが減少を続け、反対に施設死(病院など)は増加し続けてきた。そして1976-77年に逆転している。これも社会的(家制度)、政策的(保険制度など)、さまざまな要因があるらしい。

 近年変わってきたのは、分かりづらいが2005年から病院死(薄青)が明らかに減少してきているということ。そして老人ホーム(オレンジ)が増加傾向にある。看取り介護算定など、政策的な影響らしい。自宅死に関しては、2005年ごろに減少傾向から若干増加傾向にあるか、という程度でしかない。

 どうなのだろうか。1970年代までは5割が自宅で亡くなっている。いわば死が身近にあったと言えるかもしれない。とすると、この時代と現在の両方を知っている人はこの劇的な変化を身を持って感じておられるかもしれない。あるいは、この表を見て知らないうちに劇的に社会が変わっていることに気がつくかもしれない。それが統計の面白いところではないかと思う。

 ひとつ気になるのは、病院から自宅に帰ってきて通夜を行う場合だ。この場合はおそらく病院死として数えられるのだけど、自宅死に通じる部分もなくはない。とはいえ、そうしたケースもまた少数であろうと想像はできる。ともあれ、社会の変化が見事に表れていて面白いと思った。