「妻」で終わる言葉
気になった言葉を抜粋してみました。家族や結婚の制度を反映していて面白いです。
あい‐さい【愛妻】
1 愛し、大切にしている妻。「―弁当」
2 妻を大事にすること。「―家」
あと‐め【後▽妻】
後添 (のちぞ) いの妻。ごさい。
いちや‐づま【一夜妻】
《一夜だけの妻の意》遊女。娼婦。ひとよづま。
うわ‐なり〔うは‐〕【後=妻】
1 あとに迎えた妻。上代は前妻または本妻以外の妻をいい、のちには再婚の妻をいう。⇔前妻 (こなみ) 。
「この―こなみ、一日一夜よろづのことを言ひ語らひて」〈大和・一四一〉
2 ねたみ。嫉妬 (しっと) 。〈新撰字鏡〉
うわなりうち【後妻打ち】
1 本妻が後妻(うわなり)を嫉妬して打ちたたくこと。
「あらあさましや六条御息所(ろくでうのみやすどころ)ほどの御身にて、―の御振る舞ひ」〈謡・葵上〉
2 室町時代、離縁になった先妻が後妻をねたんで、親しい女たちと隊を組み、後妻の家に行って乱暴を働く風習。相当打ち。騒動打ち。
おく‐づま【奥妻】
心の奥深く大切に思う妻。心から愛する妻。
「はしけやし我 (あ) が―」〈万・三九七八〉
か‐さい〔クワ‐〕【寡妻】
1 自分の妻を謙遜していう語。荊妻 (けいさい) 。愚妻。
2 夫と死に別れた妻。寡婦。
ぐ‐さい【愚妻】
自分の妻をへりくだっていう語。
けい‐さい【×荊妻】
自分の妻をへりくだっていう語。愚妻。
「あれはね私の妻子ですんだ。―と豚児共ですよ」〈有島・或る女〉
[補説]後漢の梁鴻 (りょうこう) の妻孟光 (もうこう) が荊 (いばら) のかんざしを挿したという皇甫謐「列女伝」の故事から。
けん‐さい【賢妻】
かしこい妻。「―の誉れが高い」
げん‐さい【幻妻/×衒妻】
1 広く女をいう語。特に、美人をいうこともあり、また、女をののしってもいう。
「酒も―も向う持ちで、腹の痛まん散財や」〈上司・太政官〉
2 自分や他人の妻を卑しめたり、親しみを込めたりしていう語。
「さだめしおどれが―は、昼は袖乞ひして生米がな食らふさかひ」〈滑・膝栗毛・六〉
さん‐さい【山妻】
田舎育ちの妻という気持ちで、自分の妻をへりくだっていう語。愚妻。荊妻 (けいさい) 。
こなみ【前=妻/嫡=妻】
一夫多妻のころの制度で、先に結婚した妻。前妻または本妻。⇔後妻 (うわなり) 。
「―が肴 (な) 乞はさばたちそばの実の無けくをこきしひゑね」〈記・中・歌謡〉
せっ‐さい【拙妻】
自分の妻をへりくだっていう語。
とお‐づま〔とほ‐〕【遠妻】
遠く離れている妻。会うことのまれな妻。また七夕の織女星。
「天の川川風すずし―のいつかと待ちし秋や来ぬらん」〈夫木・一〇〉
はな‐づま【花妻】
1 花のように美しい妻。一説に、間もなく結婚する男女が、一定期間まったく会わずに過ごすときの、その触れることのできない妻。
「なでしこがその―にさ百合花ゆりも逢はむと」〈万・四一一三〉
2 鹿がいつも萩に寄り添うところから、萩の花を鹿の妻に見立てていう語。
「我が岡にさ雄鹿来鳴く初萩の―問ひに来鳴くさ雄鹿」〈万・一五四一〉
3 花を親しんでいう語。
「色深く思ひそめてし撫子 (なでしこ) のその―は今もあかれず」〈夫木・九〉
ふる‐め【古▽妻】
1 長い年月連れ添っている妻。老妻。ふるづま。
「若妻 (わかめ) 得て―を内に置くならばふため狂ひと人やいはまし」〈咄・醒睡笑・六〉
2 人に嫁したことのある女。
「花の山高き梢と聞きしかど蜑 (あま) の子かとよ―ひろふは」〈盛衰記・二〉
ぼん‐さい【×梵妻】
僧侶の妻。大黒 (だいこく) 。
み‐め【▽御▽妻/▽妃】
妃 (きさき) ・女御 (にょうご) など、身分の高い人の妻を敬っていう語。
「忍び忍び、帝の―さへ過ち給ひて」〈源・須磨〉
もうし‐づま〔まうし‐〕【申し妻】
妻を授けてもらおうと神仏に祈願すること。また、そうして授けられた妻。
「清水の観世音に―をしてあるが」〈狂言記・伊文字〉