01/15 : アモン・シェイ「そして、僕はOEDを読んだ」
◆英単語にも、いろいろな言い回しやニュアンスがあって面白いです。読んでいて気になった言葉を集めてみました。言語を学ぶならふつうに参考書でも買えばよいのですが、こういうひねくれた入り口から入るのが好きです。(そのなかでもちょっと気になったものには*)
A
- *Accismus
- 欲しいものについての本心からではない拒絶、辞退
- Acnestis
- 動物の肩から腰にかけての部分で、かこうと思っても手が届かないところ
- Advesperate
- ほんの少し陽が傾き始める
- Aerumnous
- トラブルだらけの
- Agathokakological
- 善と悪からなる
- *Agelastic
- 決して笑わない人
- Agerasia
- 若々しい人、歳をとった感じがしない人
- All-Overish
- 全身がなんとなく気だるい
- Antinomian
- 道徳律がキリスト教徒の前ではなんの効力もないと主張する人
- *Antipelargy
- 子どもから親への、お返しの愛
- Anti-rumour
- 噂を流し返す
- *Apricity
- 冬の太陽の暖かさ
- *Astorgy
- 自然にわいてくる愛情の欠如
B
- Backfriend
- うその友人、隠れた敵
- → Fawnguest
- 盗みを働くために友人のふりをしている人
- → Hindermate
- 助けるというより邪魔をする仲間
- Balaamite
- お金のために宗教心を持つ人
- *Bayard
- 無知に対して自負心を持っている人。もともと「鹿毛の馬」を指していた
- Bedinner
- 夕食をごちそうする
- Bed-swerver
- 不貞な配偶者
- Benedicence
- 会話のなかに表れる博愛心
- *Benignant
- 自分より劣るものに対して温かい感情を持っている、表している
- *Bouffage
- 楽しくおいしい食事
- *Bowelless
- 腸がない、慈悲や同情の心に欠ける。(腸=同情というのが興味深い)
C
- Cacotechny
- 悪い技巧、害を与える技巧、技術
- *Cellarhood
- 地下室が地下室である状態
- → Tableity
- テーブルがテーブルである状態
- → Paneity
- パンがパンである状態
- *Cimicine
- 虫のにおいがする
- *Coenaculous
- 夕飯を食べている、「夕食をたまらなく楽しんでいる」
- Conspue
- 軽蔑や侮辱をして誰かに、何かに唾を吐く
- → *Consputator
- 他人を軽蔑して唾を吐きかける人
- *Countercozen
- お返しに騙す
- Credenda
- 信じる者、信条(agenda”すべきこと”の対をなす)
- Curtain-lecture
- ベッドにおける妻による夫への小言
D
- Debag
- 罰として、もしくは冗談でズボンを引きずりおろす
- *Deipnophobia
- 晩餐会の恐怖
- Desiderium
- 以前所有していて現在所有していないものをもう一度所有したいと強く思う気持ち
- Dilapidator
- 建物を放っておいてだめにしてしまう人 (現在のニューヨークでは、単にlandlord”大家さん”と呼ばれている)
- *Dyspathy
- 同情(sympathy)の正反対
E
- -ee
- → Laughee
- 笑われている人
- Elucubration
- ろうそくの明かりで勉強をすること、書き物をすること (生産的活動)
- Empleomania
- 公的役職につきたいと思う躁病的衝動
- *Engouement
- 理屈のない愛好
F
- Fard
- 顔の傷を隠すために化粧をする
- Father-better
- ほかのお父さんよりよい
- Father-waur
- ほかのお父さんより悪い
- Fedity
- ひどく悪い習慣、嫌悪を感じる習慣
- *Felicificability
- 幸せにする力
- → felicific
- 幸福をもたらす
- Filiism
- 自分自身の息子に対する過度のひいき目
- Finifugal
- 何かが終わることを避けている
- Fleshment
- 初めての成功からもたらされる幸福の感覚
- Foiblesse
- (人の)はっきりしとした弱点、何かへの弱さ(foible に対してfoiblesseには、弱みを容認する、肯定する態度がある)
- Fomes
- 接触伝染性のウイルスを吸収、保持できるありとあらゆる多孔性の物質
- Fornale
- お金を稼ぐ前に使ってしまう
- Frauendienst
- 女性に対して誇張された騎士道 (13世紀にウルリヒ・フォン・リヒテンシュタインという人が書いた本のタイトル。その本には、彼が仕える貴婦人をいかに守り、戦ったのかについて詳細な記述がなされている。(例えば、数百もの敵の兵士を倒し、どれほど大きなけがを負ったのかについて))
G
- Gobemouche
- どんなにばかげたことであっても、なんでもすぐに信じる人。語源はそれぞれフランス語で、gober (~を飲み込む), mouche (ハエ)
- Granaybgere
- 豪華な、贅沢な食事 (OEDに謎の注釈あり。”「あなたは本当に一人ですべての異教徒を退治できるとお思いですか?」という意味を持つ、もとのフランス語からの借用ではない”, 103)
- Grinagog
- 絶えずにたっと笑っている人 (”この単語は、おそらく、「顔をポコンとパンチしてもかまわないやつ」とも定義できるだろう”, 104)
- Gymnologize
- インドの哲学者のように裸で議論する
H
- Hamartia
- 悲劇の英雄を敗北に至らしめた欠点 (”くれぐれもこの単語をチョコレートの誘惑に負けそうなときなどに使ってはいけない”, 110)
- *Happify
- 幸せにする
- Heterophemize
- 意図したこととは異なることを言う
- Hooverize
- 特に食料に関してけちけちする。1917-1919まで食糧庁長官だった第31代アメリカ合衆国大統領ハーバート・フーバーに由来する。(”哀れハーバート・フーバー”, 114)
- Hot cockles
- 一人がうつむいて目隠しをしてひざまずき、ほかの人がその背中を順番に叩いていって、誰が叩いたのかをあてるという素朴なゲーム
I
- Ignotism
- 武知によって引き起こされた過ち
- *Ill-willy
- 憎悪の気持ちを大切に育んでいる (”でも、そもそも、-willyで終わる単語をとてつもなく重く深刻な単語として理解するのは、はなはだ難しい", 121)
- Impluvious
- 「雨に濡れた」
- Inadvertist
- 全く周りの状況が目に入らない人
- *Indesinence
- ふさわしい終焉の欠如
- Indread
- 目に見えない恐怖を感じる
- *Interdespise
- 相手と同じくらい憎む
J
- Jentacular
- 朝食の、朝食に関係する
- Jocoserious
- 半分真剣で半分ふざけた
K
- *Kakistocracy
- 最悪の市民による政治
- Keck
- いまにも吐き出しそうな音を出す
- Killcrop
- 空腹がおさまらないがき、俗に、実の子と替えられた妖精と考えられたがき (”この単語は、自分のところ以外のすべての子どもを言い表していると考える向きもある”, 143)
L
- Lant
- ビールを強くするために尿を加える
- *Lectory
- 読書のための場所
- *Letabund
- 喜びでいっぱいの
- *Levament
- 自分の妻から感じる安らぎ
- Lipoxeny
- 寄生者が宿主を見限って離れること
M
- Maritality
- 夫に対する妻の過剰な、度を越えた愛情
- Mataeotechny
- 無益な、利便性のない科学、技能
- *Mawworm
- 高潔さを自認する偽善者
- Microphily
- 知性や地位において対等でない者同士の友情
- *Micturient
- ものすごく尿意をもよおしている
- → Cecaturient
- 便意をもよおしている
- *Minionette
- 小さくて魅力的な
- Misandry
- 男嫌い
- → Misogyny
- 女嫌い
- Misdelight
- よくないことに喜びを感じること
- Mislove
- 憎む、罪深いほどの愛情を持つ
- Monodynamic
- 才能を一つしか備えていない
- Mothersome
- 母親のように心配する、心を痛める
- → bothersome
- わずらわしい
- Mumpsimus
- 特に言葉遣いについて、断固、懐古主義の立場をとること
- Mysophobia
- 汚れや不潔な状態に対する理屈を超えた恐れ
- Mythistory
- 歴史の神話的説明、報告
N
- Need-sweat
- 不安や心配から出る汗
- Nemesism
- 内に向けられたフラストレーション
- Noceur
- ずぼらで不道徳な人、夜遅くまで起きている人
- Nod-crafty
- 大学者のようにうなずく傾向にある
O
- Obligrate
- (おそらく)ごちそうを楽しんで時を過ごす
- Occasionet
- ちょっとした出来事
- *Omnisciturient
- 全知を望んでいる
- Onomatomania
- 適切な言葉が見つからなくていらいらしている状態
- Opsigamy
- 人生の終盤で結婚すること
- Oxyphonia
- 度を越えた声のかん高さ
P
- Palaeolatry
- 古いものに対する過度の畏怖の念
- *Pandiculation
- 疲れたときや朝起きたときに、「あーっ」と手足を伸ばす行為
- Parabore
- 退屈に対する防御
- Paracme
- 人生の全盛期が過ぎ去った時
- Pejorist
- 世界が悪いほうへ向かっていると考える人
- Peristeronic
- 鳩を連想させる
- Pertolerate
- 最後までしっかり耐え抜く
- Pessimum
- 予想される最低最悪の状況
- *Perichor
- 雨が長く降らず、乾燥していたところに雨が降り、その時に地面からあがってくる心地よい匂い
- Philodox
- 持論にほれ込んでいる人
- Postreme
- 最後の男 (どん尻、びり、つまり「敗者」の固い言い方)
- *Postvide
- ことが起こったあとにその計画を立てる
- *Preantepenult
- 最後でもなく、最後の一つ前でもなく、最後の一つ前の一つ前でもなく、その次の
- *Prend
- 修繕されたひび割れ
- *Propassion
- 情熱の予兆となる心のざわめき
- *Psithurism
- 風で落ち葉がかさかさと音を立てること
Q
- Quag
- (柔らかいもの、ふにゃふにゃしたものが)揺れ動く
- Quisquilious
- 生ごみやがらくたに近い
- *Quomodocunquize
- あらゆる手段を使ってお金を稼ぐ
R
- *Rapin
- 手におえない芸術科の学生
- *Remancy
- お返しの愛、愛し返すこと
- Redeless
- 緊急時に何をしたらよいのかわからない
- Rejoy
- 所有者としてものを楽しむ
- Remord
- (名)ちょっとした後悔の念 (動)後悔の念とともに記憶に残る
- Repertitious
- 偶然見つかった、ひょんなことから見つかった
- Resentient
- 気分の変化を引き起こすもの (くちゃくちゃとモノを食べる男性だったり、見ているほうが恥ずかしくなるような笑い方をする女性などを指すことができる)
- Residentarian
- 食卓にある残りが与えられる人 (”食べ始めたときは、テーブルとおなかが14, 5センチ離れている。そのあいだが埋まって、テーブルとお腹がくっついた時に、ごちそうさまをするのさ”, ダイヤモンド・ジム・ブレーディー, 223)
- Resipiscence
- より良い精神状態、意見に戻ること。食前酒誕生の理由
- Roorback
- 政治目的で流布される特報。バロン・フォン・ルーバックに由来
- *Rough music
- 鍋や釜などをドンチャン叩いたりするなど、大きな音を立てて隣人を困らせること
- Ruffing
- 拍手喝采の代わりに足を踏み鳴らすこと
S
- Safety-firster
- 危険を冒そうとしない人 (安全第一、良心といった意味だったが、臆病者を意味するように)
- *Sardonian
- 殺意を抱き、相手をおだてて喜ばせる人
- Scrupulant
- 良心的に罪を告白しすぎる人
- Semese
- 半分食した (「今晩、残り物(leftover)があるわよ」と「今晩、食べ残し(semese)があるわよ」。後者のほうが、圧倒的に食欲をなくす, 236)
- Sesquihoral
- 一時間半続いている (an hour and half とわざわざ言いたくない気分のときにどうぞ, 237)
- Shot-clog
- 全員に一杯おごってくれるので我慢して付き合う嫌な友人
- Sialoquent
- 話しているときに唾をたくさん飛ばす人
- *Sientiary
- 「黙れ」と命令することを職とする役人
- Somnificator
- 他人の眠りを誘発する人
- *Superarrougate
- とてつもなく傲慢にふるまう
T
- Tacenda
- 口に出して言う必要のないこと、黙ってやり過ごすこと
- Tricoteuse
- 編み物をする女性、特に、フランス革命の際にギロチン処刑に参列し、たくさんの首が転がっている中でも座って編み物をする女性
U
- Ultra-crepidarian
- 自分の範囲、限界を超えて助言したり批判したりする人、無知な、でしゃばりな批評家
- *Umbriphilous
- 陰が大好きな
- *Unasinous
- ばかさ加減において相手と等しい
- *Unbepisssed
- 尿がかけられていない、尿で塗れていない
- Undisonant
- 波の音がする
- Unlove
- 愛することをやめる
V
- Valentine
- (鳥について)交尾期に歌であいさつをする (”鳥が口を大きく開けて異性をひきつけるために謳ったら、それは「自然の驚異」というカテゴリーに入る。人間の男性が同じことをしたら、「接近禁止命令の根拠」というカテゴリーに入る”, 262-263)
- Vanitarianism
- 虚栄、虚飾の追求
- Videnda
- 見る価値のあるもの、見るべきもの
- Vitativeness
- 生きる喜び、生きることへの愛
W
- *Wailer
- プロの会葬者、お金をもらって涙を流す人
- Well-lost
- まっとうな理由をもってしても負けた
- Well-woulder
- 条件付きで他人の幸せを祈る人
X
- Xanthodontous
- ウサギやリス(げっ歯類)などのように歯が黄色い
- Xenium
- 来客に差し上げる品
- Xenogenesis
- 両親に似ていない子ども
- Xerostomia
- 唾液の生成不足による口の渇き
Y
- Yepsen
- カップのように丸めた両手に入る量、カップ状にした両手そのもの
- Yesterneve
- 昨晩
- Yestermorn
- 昨日の朝
- Hesternal
- 昨日の、昨日と関係のある
- → Nudiustertian
- 一昨日の、一昨日と関係のある
- → Overmorrow
- 明後日の、明後日と関係のある
Z
- Zabernism
- 軍隊における権力の誤った使用、いじめや権利の侵害
- Zugzwang
- (チェスで)駒を動かす必要があるのだけれど、動かすと不利になるような状況