もの知らず日記

積み重なる駄文、天にブーメラン

「基準値のからくり」「先生!」

10/23 : 村上道夫ら「基準値のからくり」

◆知らないところで人びとの生活を支えている「基準値」。近年の報道をはじめ、それは安全性を科学的に保証する値だと考えられてきました。ところが実際には、それは基準値のひとつの側面でしかないようです。基準を決める段階で、社会や文化、政治や経済といったさまざまな要因から妥協が重ねられていることもあれば、基準値を用いる段階で、まったく別の目的でつくられた基準値が、なぜか安全の尺度として用いられてしまうこともあるのです。そのことが、じつは基準値にまつわる不思議な疑問、ときには過剰な反応を生み出しているのです。基準値の不思議な現実を垣間見せてくれる本です。(引用はまた後日)

「基準値の謎」の例

●各メーカーで違うはずの食品の賞味期限、なぜどれも「横並び」になるのか?
●同じ農薬、同じ残留量なのに、なぜ「リンゴは安全」で「キクラゲは危険」なのか?
●「避難と除染」の安全すぎる基準値と運用、これでは「福島に帰るな」と言っているようなもの!

これらの謎の答えを知れば、「そんな決め方でいいの?」と何度も驚き、絶句することでしょう。〔基準値に〕一喜一憂する前に、ぜひご一読ください。
『基準値のからくり』(村上道夫, 永井孝志, 小野恭子, 岸本充生):ブルーバックス|講談社BOOK倶楽部から適宜抜粋)

10/21 : 池上彰編「先生!」

◆分野も考え方も違う様々な大人たちが「先生」をテーマにしてさまざまなことを書いています。もちろん先生といっても、その存在は人によってそれぞれ異なります。「元生徒」として素晴らしい先生との思い出を書く人もいれば、反対に、嫌な大人として先生を描いている人もいますし、教える側として、みずからの体験や信念を書いている人もいます。ぼく自身が惹きつけられたのは2点、一つ目は「80歳を超えた中学生」。卒業式を迎え、80歳を超えた生徒を見送る先生の姿に思いを馳せてしまうのでした。そしてもう一つは、「とらわれちゃだめだ」。夏目漱石の「三四郎」を引用しています。一国の成長をだれもが疑わないさなかで、「滅びるね」と突きつける。その視点を持つことへの驚きと、突きつけられた衝撃を想像して、二重の驚きを感じました。

◆その内容自体を楽しむことはもちろん、この本からそれぞれの筆者の著書に関心を持つのもよし、あるいは、「これは無理やり”先生!”をぶち込んだな」などとひねくれた楽しい読み方をするのもよいかもしれません。(引用はまた後日)