もの知らず日記

積み重なる駄文、天にブーメラン

「パンケーキの歴史物語」

07/23 : ケン・アルバーラ「パンケーキの歴史物語」

◆パンケーキとはなんだろうか。さらにいえば、パンケーキの本質はどこにあるのだろうか。小麦粉を使うことだろうか、膨張剤を使うことだろうか、甘味があることだろうか、あるいは平らな鉄板で焼くことだろうか。この問いに答えるべく歴史をさかのぼってみると、こんにちのパンケーキよりも前のパンケーキがみえてくる。その歴史物語の始まりは、古代ギリシャにまでさかのぼる。本書を読んでパンケーキの歴史物語を読みながら現代に帰ってきたとき、世界中をつなぐパンケーキ文化がみえてくる。

◆パンケーキはきわめてシンプルな料理だからこそ、人びとに愛されてきた。どの国でも、食べれば子ども時代を思い出す「なつかしの味」であり、国によっては民族のアイデンティティであり(葬式や文化的な行事で食べる)、庶民(や労働者)から貴族まで階級を問わず好まれてきたという、たぐいまれな食べ物なのである(と著者はいいたいようです)。「さあ、パンケーキを作ろう!パンケーキを食べに行こう!パンケーキや塩味のパンケーキを食べながら、人生を存分に味わい尽そう! (”訳者あとがき”, p. 168)」


* メモ *

◆クレープ・シュゼットの登場が偶然の産物だったという話が興味深い。英国皇太子(のちのエドワード7世)にクレープをつくる係だった14歳のシャルパンティエが、ソースに含まれていたリキュールに偶然火をつけてしまった。ところが、それを一口食べるとじつにすばらしい味だったという。◆”シュゼット”とは、皇太子が特別な思いを寄せていた女性の名前とも、単に居合わせた女性の名前とも、シュゼット・ライヘンブルクという女優の名前とも、シュゼット・カリニヤンという貴族の女性ともいわれる(ようするに、諸説ある)。

パンケーキの定義

 なんらかのでんぷん質の生地(バッター)を、フライパンあるいはそれに類する調理器具で焼いた平たい食べ物 (p. 16)で、内部はやわらかくしなやかであるという点で共通している (p. 20)

世界にある種々のパンケーキ

*) 本書のなかで、パンケーキの分類から除外されたものは書いてありません
**) 手書きメモから入力したため、間違いがかなりありそうです

ヨーロッパ

クレープ(フランス)、クレープ・シュゼット(フランス)、ソッカ(南フランス)、ガレット(ブルターニュ地方)、ブリンツ(イタリア)、フレンシェ(オランダ)、ポッフェルチェス(デンマーク)、ラッグムンクスウェーデン)、プレッタル(北欧)、エーブレスキーバ(北欧)、ファナリータ(地中海沿岸南部)、ソッカ(地中海沿岸南部)、ラトケ(ユダヤ教)、プラッキ(ポーランド)、パラチンタ(東欧)ブリヌイ(ロシア)

アフリカ

アカラ(アフリカ)、インジェラエチオピア)、バグリール(モロッコ)、フンカソ(西アフリカ)

アジア

ドーサ(南インド)、ダダール・グルン(インドネシア)、バインセオ(ベトナムカンボジア)、パック・モー(タイ)、ホットク(韓国)、ビンジャトック(韓国)、どら焼き(日本)、お好み焼き(日本)

中南米

ゴルディータ(メキシコ)、カチャパ(ベネズエラ)、アレパ(ベネズエラ)、ププサ(エルサルバドル)、フラップジャック(アメリカ)、パンケケ・デ・ドゥルセ・デ・レチェ甘い牛乳のパンケーキ(南米)