もの知らず日記

積み重なる駄文、天にブーメラン

ある日どこかで

感想の羅列です。
本はあまり読まないのですが、ぼくは時間を移動する話が好きなようです。

過去への憧れですね。自分のいなかった世界が、確実にそこにはあった・・・そして、それはいままで絶えず続いてきた・・・という確信を持ったときのじんわりした感動が好きなんでしょうね。

さて、このお話について手短に。別名は恥さらしノート。

内容をものすごく乱暴にいえば、古い写真に写った女性に一目ぼれし、時間を超えて恋を実らせるものの引き裂かれてしまうというお話。

 このお話の主人公は、現代(物語内での”現在”)に違和感を覚えながら生きてきたのでしょうね。それに、あの彼女も現代(物語内での”過去”)に違和感を覚えていたのかもしれません。

 そんな二人が時間を超えて出会う喜びと、時間移動の曖昧さのために引き裂かれてしまう悲しみ。曖昧さというのは時間を移動するための「自己催眠」という方法についてです。これに疑問を唱える意見は、グーグル先生で調べてみてもいくつか見かけます。科学的ではないし、説得力に欠ける、こんなのは幻想ではないかと。
 しかし僕は、当人にとっては”現実”だったのだろうとも思います。「汝の信念が、汝の世界をかたち作る(p.142)」という言葉のとおりだということになります。そして、そんな曖昧な方法による時間移動だからこそ、この物語のなかで二人が出会った関係がいかに曖昧で奇跡的なものだったのかということを感じずにはいられません。

 最後に、妄執的な主人公については・・・はっきり言ってストーカーのように映るかもしれませんね(^^;) それぐらいの妄執がなければ自己催眠はできないわけで、結果として時間を超えられないことになってしまうわけですが・・・。

・・・・・・

 読み終えた後にグーグル先生で感想をいくつかみましたが、作者の強い衝動の流れに乗ることができるかどうかで評価がかなり分かれているのだろうと思いました。

 最後に、 彼女のモデルとなったモード・アダムス(Maude Adams)という女優。時代を超えたような、本当に綺麗な人でした。