もの知らず日記

積み重なる駄文、天にブーメラン

読書

「ピエール・リヴィエール」

07/02 : ミシェル・フーコー編著「ピエール・リヴィエール――殺人・狂気・エクリチュール」 この本の題材となる事件は1835年6月3日にさかのぼります。フランスのオーネーという田舎町で、ピエール・リヴィエールはナタを使って母・妹・弟を次々と殺害しました…

「音楽用語のイタリア語」

06/10 : 森田 学「音楽用語のイタリア語」 音楽用語では、表面的な意味だけでは違いがよくわからない単語がたくさんあります。たとえば、accelerandoとstringendo(徐々に速く)、ritardandoとrallentandoとritenuto(徐々に遅く)、rinforzandoとsforzando…

「わが百味真髄」

06/09 : 檀一雄「わが百味真髄」 長ずるに及んで、私の放浪癖は、私の、自分で喰べるものは自分でつくる流儀の生活をいっそう助長したし、また反対に、私の、自分で喰べるものは自分でつくる流儀の生活が、私の放浪癖を尚更に助長した。 (pp. 10-11) 春夏秋…

「検定絶対不合格教科書 古文」

05/12 : 田中貴子「検定絶対不合格教科書 古文」 指導要領に端を発する既存の教科書の在り方に異議を唱えるべく書かれたのが、この検定「不合格」教科書です。 作品そのものの面白さを歪める検定に疑義を呈し、(創られた)伝統や自国の文化として提示される…

「オペレッタ」

05/01 : ジャック・ルシューズ「オペレッタ」 このようなわけで、オペレッタは、不ぞろいな魅力や、不意に何かがおこることの面白さや、陰にかくれて会っているかわいい女性の見せる甘美な優美さを、これまで保ち続けてきたし、これからも保ち続けることだろ…

「話がこじれたときの会話術」

04/21 : J. ウィンズレイド, G. モンク「話がこじれたときの会話術」 ナラティヴの実践原理として、対立の物語には常に複数の物語があるという想定を持って取り組むとよい。当然、双方の(または2グループ以上の)当事者たちは常に、起こったことについて異…

「卵のようにかろやかに」

04/23 : サティ「卵のようにかろやかに」 私は批評家がいるとそれだけで目がくらみます。あまりの輝かしさに、一時間あまりも目を細めていなければなりません。私は彼のスリッパに口づけします。私は彼の言葉を脚つきの大きなグラスでうやうやしく飲み干しま…

「犯罪者の自伝を読む」

03/26 : 小倉孝誠「犯罪者の自伝を読む」 普通に人生を過ごしていたならば、みずからの生涯を書き綴るという自伝行為とは無縁であったはずの彼らは、社会の法と秩序に背いた結果として、言葉に遭遇した。監獄という孤立と、監視と、沈黙の空間に置かれた時、…

「パイの歴史物語」

03/12 : ジャネット・クラークソン「パイの歴史物語」 クリスマスのミンスパイや感謝祭のパンプキン・パイは、栄養に富むおいしい食べものから強力なシンボルへと進化して生きのびた。しかしごくふつうの、毎日過程で手作りされていたパイは、時代の変化の波…

「鴎外の子供たち」「鴎外の三男坊」「森家の人びと」

「鴎外の子供たち」 森鴎外の三男、森類さんに関する本を何冊か読んでみました。一冊目は森類さんご自身による『鴎外の子供たち』。 まっ黒に焼いた木柵が広大な林を二分して、中央にある一間はばの道路が林の頂に達している。足もとの砂が急に深くなった。…

「ふるさと隅田川」「一九八四年」

02/20 : 幸田文「ふるさと隅田川」 いヽ土地に住む人たちより、そこに住む女たちはずつと明らかに、それぞれの性格なり力なりを発揮してゐた。私には、女房たちは亭主たちを飾つてゐるといつた観があつた。それに較べると、いヽ土地の奥様がたは亭主に飾られ…

打ち込み日記 - ショパン ポロネーズ変イ長調 作品53 "英雄" (3)

英雄ポロネーズ (0) の試作版から、間違いを修正した最初の公開版(2の公開にともない音楽データは削除)、表現を改めた英雄ポロネーズ (2) に続いて3回目の公開です。変更点はいろいろありますが、一番の変更点は主部で3拍目を強調したことです。リズム感が…

「東大教師が新入生にすすめる本」

01/31 : 文藝春秋「東大教師が新入生にすすめる本」 東京大学出版会の月刊広報誌 "UP" の同名のコーナーから、1994年から2003年分を採録したという本です。そのコンセプトは書名のとおり、難関をくぐりぬけ入学を果たしたばかりの気鋭の新入生たちに、研究者…

「不運な女」

01/31 : リチャード・ブローティガン「不運な女」 さてと、わたしはいまこの本を書きおえようとしていることに気づく。これは根本的にはわたしが知っていることすべてについての本だ。それは見るにしのびないほどあからさまである。作家どもは悪名高い嘘つき…

「100語でわかるガストロノミ」

01/01 : アラン・ボウエー、ローラン・プランティエ「100語でわかるガストロノミ」 人は、毎日食べなければならない。そして、料理をすることは、その食べる時間を素朴な幸せの瞬間にすることである。私は、料理を熱烈に愛する。食材を吟味し、調理し、決し…

「作曲の発想術」「まちモジ」「日本人はいつから働きすぎになったのか」

01/17 : 青島広志「作曲家の発想術」 肺病で貧血を起こしている女主人公の、それをものともせずに歌うこと! 感極まるとベッドの上に立ち上がって『歓喜の歌』風の二重唱を歌うのだ。また、恋人の男も女も、彼女が歌うのを止めようともしないのである。それ…

英単語メモ - 「そして、僕はOEDを読んだ」から

01/15 : アモン・シェイ「そして、僕はOEDを読んだ」◆英単語にも、いろいろな言い回しやニュアンスがあって面白いです。読んでいて気になった言葉を集めてみました。言語を学ぶならふつうに参考書でも買えばよいのですが、こういうひねくれた入り口から入る…

ことわざメモ

01/15 : 橋本テツヤ「ことわざびじん」◆美人になりたいわけではありませんが、ことわざにはいろいろな言い回しやニュアンスがあって面白いです。読んでいて気になった言葉を集めてみました。各ことわざにいらないコメントをつけてあります。相手のない喧嘩は…

「調べる論」「やし酒飲み」

01/13 : 木村俊介「『調べる』論――しつこさで壁を破った20人」 しかしシベリアから帰ってきた後、どんなことがあったのか。それは伝わっていない。取材を進めると、実はこれがまだ終わっていない今の問題だということが分かってきた (栗原俊雄, pp. 40-41)◆…

「基準値のからくり」「先生!」

10/23 : 村上道夫ら「基準値のからくり」◆知らないところで人びとの生活を支えている「基準値」。近年の報道をはじめ、それは安全性を科学的に保証する値だと考えられてきました。ところが実際には、それは基準値のひとつの側面でしかないようです。基準を決…

「ダメ出しの力」

10/09 : 繁桝江里「ダメ出しの力」 ダメ出しをする側もされる側も、できるだけネガティブな感情を排除したいものです。「ダメ出し」マイナス「ネガティブ感情」イコール「イイ効果」という式が成立することを目指してください。そのためには、とにかく時間を…

「味」

10/05 : 秋山徳蔵「味」 ところが、ほんとうに良人を愛している女房は、たとえ料理は下手でも、どうしたらおいしく食べて頂こうか、これでは食べにくいからこうしておこう、汁が浸み出して手でも汚してはいけないから、紙を一枚入れておこう――そういった深い…

「ブラウン神父の無心」

09/30 : G. K. チェスタトン「ブラウン神父の無心」ジョン・ターンブル・アンガスは店のお嬢さんのところへ戻ったが、このあつかましい青年は、彼女と何とか楽しくやって行くだろう。しかし、ブラウン神父は星空の下で、雪の降り積もった丘を殺人犯と一緒に…

「脳内汚染からの脱出」「東京今昔旅の案内帖」

09/16 : 岡田尊司「脳内汚染からの脱出」 依存症とは、それほど自分の力ではどうにもならないものなのである。せっぱ詰まった覚醒剤中毒患者が、自ら警察に駆け込むということも少なくない。自分を逮捕して貰うことでしか、自分を止められないと知っているか…

「お茶が運ばれてくるまでに」「ブラウン神父の秘密」

08/31 : 時雨沢恵一「お茶が運ばれてくるまでに」あなたはイスに座って、ウェイターが注文を取りにきました。あなたは一番好きなお茶を頼んで、そして、この本を開きました。お茶が運ばれてくるまでの、本のひととき――◆淡く優しい水彩の挿絵とともに語られる…

「医学的根拠とは何か」

7月31日 : 津田敏秀「医学的根拠とは何か」 人間を対象とする統計学を用いた研究を知らない多くの直感派の医師や医学研究者は、多いことや少ないことや発生するとかしないとかは、形容詞や副詞的表現でどうにでもごまかせると考えている。メカニズム派の影響…

「パンケーキの歴史物語」

07/23 : ケン・アルバーラ「パンケーキの歴史物語」◆パンケーキとはなんだろうか。さらにいえば、パンケーキの本質はどこにあるのだろうか。小麦粉を使うことだろうか、膨張剤を使うことだろうか、甘味があることだろうか、あるいは平らな鉄板で焼くことだろ…

「刑吏の社会史」「当世書生気質」「子どもの貧困II」

07/07 : 阿部謹也「刑吏の社会史」◆共同体の傷を修復するための儀式としての「処刑」をおこなう「刑吏」が、長い時間をへて、共同体から排除(市民権を認めない)されるほどに忌避されるようになったのはなぜか。つまり、神の使途として現れた刑吏が、どのよ…

「茗荷谷の猫」 『ドトールコーヒー「勝つか死ぬか」の創業記』 「活字のサーカス」

05/29 : 木内昇 「茗荷谷の猫」 ――緒方の言う通りにしてみようか。分枝は、そう思った。また、内側に立ってみるのだ。「物語」には別段、嘘偽りはないのだから。信じられないけれど、現実にそれは起こったのだ (本書より「茗荷谷の猫」, p. 93)。◆短編集なの…

「スターバックス再生物語」 メモ

05/19:ハワード・シュルツ「スターバックス再生物語 つながりを育む経営」◆スターバックスの実質的な(実際には違うけれども)創業者といってもよい著者が語るスターバックスの歴史。経済危機、営利主義によって、スターバックスの本質が失われようとして…