もの知らず日記

積み重なる駄文、天にブーメラン

小さな小品

 私の原点は真似っこ音楽です。好きな曲を聴き終わってしまって、その続きを勝手に考えたり、「僕もこういうものが作りたい!」と思って勢いでやってしまう。プロの木彫りの箱の細密さに感動して、自分でやってみたら、残酷に削り取られただけの悲しい箱が出来あがってしまった、という感じのことを繰りかえしています。

 私にとって「小さな小品」というのは、「ちょっとこんなの作ってみたよ」というくらいの意味合いで、芸術作品として完成された音楽とは真逆にあることを意味しています。鼻歌のようなものです。この小品も、好きな曲を聴いていてノリで作ってしまっただけなんです。拍子から調性まで一緒! フレーズの感じは違いますが、原曲を知っている人には不出来な真似っこ音楽であることがバレてしまって私が恥ずかしくなる、という次第です。

 なにかの世界観や風景をイメージして曲を作ってみることもありますが、演奏されている場面を想像して曲を作ってみることもあります。こういう場面だったら、こんな感じの曲、という感じです。この曲は後者のタイプで、ピアノの上手な人が子どもに向かって「ちょっと弾いてあげる」と言って弾いているような場面を想像して作りました。フレーズごとに「ふぅ」と一息つきながら、曲はだんだん加速してゆきます。最後は沈んで、駆け上がって、と上下を繰り返して力強く。子どもたちの方をちらりと向いて、ちょっとだけ「すごいでしょ」とアピールしている感じです。

 やっぱりそんな思いで作っているとき、作り終わったときが一番楽しいです。聞いてもらえるともっと嬉しいです。そしてまたそういう気分になったらまた作り始めるのです。

4/2 - Presto.

midi programming : Hishaism.
Instrument : pianoteq6. Erard (1922).