もの知らず日記

積み重なる駄文、天にブーメラン

空想

現代日本むかしばなし

むかしむかしあるところに、おじいさんとおばあさんがいました。おじいさんは一日じゅうテレビを独占し、おばあさんはストレスのあまりお遍路に出かけてゆきました。めでたしめでたし。

正しい日本語

「ご苦労様でした」「ご苦労様でしたとはなんだ! 日本語を勉強しなさい!」「お疲れ様でした」「お疲れ様でしたとはなんだ! 目上の人間を労おうというのか!」「では、お先に失礼致します」「”致します”とはなんだ! 伺いを立てるのが筋だろ!」…………彼は正…

電車の女神

<女神さま> あなたに寄りかかってきたのは、この金のおっさんですか? それとも、この銀のおっさんですか?<ある女性> いいえ、女神さま、わたしに寄りかかってきたのは、ごく普通の、寝たふりをした、せこいおっさんです。<女神さま> まあ、あなたは…

ある男の一日

彼の楽しみは、ホームセンターで買ってきたかいわれ大根が太陽に向かってゆっくりとおじぎするのを見守ることだけだった。彼らがようやくおじぎを済ませると、こんどは向きを変えて反対におじぎをさせる。彼らが2度の挨拶を済ませると、彼の一日がちょうど終…

ブーメラン

ブーメランを持った人間が四人いる一人は、投げたブーメランを見事に受け取る人一人は、恐れから投げることをためらっている人一人は、投げたブーメランがときどきあたまにあたって痛がっている人一人は、投げたブーメランがあたまに突き刺さっているのに、…

役所

「はい。このような規則になっておりますので」 戸籍を盗まれたわたしは、戸籍を再発行してもらうために役所を訪れた。長年連れ添った冷蔵庫のように優しい女性職員が教えてくれた。 「戸籍の再発行には、戸籍が盗まれたという証明が必要です」 わたしは見知…

画面

(彼のヘルメットのうえに横長の小さなディスプレイが固定されていて、端末からメッセージを入力するとその画面に文字が表示される)彼はその画面を通じて、自らの意思を世間に表示する。彼の画面は語る。「豊洲で降ります」。サラリーマンは彼のまえに乗り…

ある雑誌を読み思う

「女性は男の人のちょっとした配慮がありがたいんです。夜だけ燃えて朝になったらシラッとしてたら、昨日のはなんだったのって思うんです。だから、朝になって朝食とかをつくってくれたらとてもうれしい。ピザトーストに、挽きたてのコーヒーとかでいいんで…

NPCおばあちゃん

ファミレスにて <店員> ドリンクバーはあちらにございますので、ご自由におとりください <NPC> あたし、ドリンクバーってだめなのよう、とってきてもらえる? <店員> ですから、ドリンクバーはあちらに…… <NPC> あたし、ドリンクバーってだめなのよ…

カネ

「お金じゃ買えないものがある」金持ちが言うと嫌味にしか聞こえないと言い、貧乏人が言うと僻みにしか聞こえないと言う。では、いったい誰が言えばよいというのだろう。

打算的女性

――市街を一望できる夜景の美しい高台。付き合って間もないロマンチストと女性のカップル。<ロマンチスト> ごらん、これが、100万ドルの夜景さ。でも、きみのほうが素敵だよ<女性> すてき――そこにお金持ちが登場。<お金持ち> ごらん、これが、ぼくの資…